突然、ご自宅の家具やフローリングに意図せぬ穴が開いていたり、小さな木くずが散らばっている光景を目にした場合、それはキクイムシによる被害かもしれません。
キクイムシは木材の内部で活動するため、気がついた時にはすでに深刻な被害をもたらしていることもあります。
キクイムシに対処するためには、被害を早期に発見し、適切な対策を講じることが不可欠です。
キクイムシの被害を見分ける方法と適切な駆除手法を理解し、被害が広がる前にキクイムシと戦うことが大切です。
この記事では、キクイムシの被害を見抜くためのポイントや、自身でキクイムシを駆除する方法、そして被害を未然に防ぐ方法について詳しくご紹介します。
また、自分での駆除作業に不安を感じる方々のために、キクイムシ駆除を専門業者に依頼する際の費用相場や適切な業者の選び方についても解説いたします。
キクイムシの生態と特徴
日本国内には、おおよそ300種以上のキクイムシが生息していると言われています。しかし、家屋への被害をもたらす中でも最も一般的な種類は、ヒラタキクイムシです。
この記事では、特にヒラタキクイムシに焦点を当てていますが、他の種類のキクイムシに対する駆除方法は異なることがあるためご注意ください。
ヒラタキクイムシの特徴と生態を以下の表に示します。
ヒラタキクイムシの特徴と生態 | |
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身体の特徴 | 体長は3~8mmと非常に小さく、茶褐色の細長い体形をしています。 |
主な生息場所 | 室内:木製家具、壁、フローリング、柱、屋根裏 屋外:庭木など |
活動時期 | 成虫は通常4~8月に出現し、特に5~6月に最も多く観察されます。冬の暖房により成長が促進され、2~3月にも出現することがある |
繁殖時期 | 4~10月に産卵を行う |
寿命 | 成虫の寿命はおおよそ3~5週間程度 |
好む木材 | ラワン材、ナラ、ケヤキなどの広葉樹や竹などを特に好むとされています。とりわけでんぷん質など養分の多い木材を選好します。 |
上記の特徴が当てはまる場合、ほぼ確実にヒラタキクイムシである可能性が高いです。
キクイムシの幼虫期間は約10ヶ月に及び、この期間中に木材を食害しながら成長します。幼虫は産卵から翌年の2月から6月にかけてさなぎに変わり、8日から20日かけて成虫に発育します。成虫になると、木材に穴を開けて外に出るため、被害に気づくのはこの時期が多いです。
また、キクイムシの寿命はわずか3~5週間程度と短いです。したがって、「すぐに死ぬのであれば放置しても問題ないのでは?」と考える人もいるかもしれません。
しかしながら、キクイムシを放置すると被害が広がる可能性があります。なぜなら、1匹のキクイムシがいる場所には、他にも多くの成虫や幼虫が存在する可能性があるからです。キクイムシやその被害を発見した際には、放置せずに適切な対策を取ることが重要です。
次に、キクイムシの被害を早期に発見するための方法について説明します。
キクイムシ被害の識別方法
キクイムシによる被害を見分けるための3つの兆候が存在します。以下のポイントを確認しましょう。
- 室内に木くずが散乱している
- 家具やフローリングに微小な穴が開いている
- 壁などから「ガリガリ」とした木を削る音が聞こえてくる
これらの兆候が確認できた場合、キクイムシによる被害を受けている可能性が高いです。
こうした兆候に遭遇しても、軽視せずに対処することが重要です。
しかし、これらの兆候を放置すると、キクイムシの被害は拡大し、住居全体に深刻な影響を及ぼす可能性があります。
したがって、これらの兆候を見逃さず、早急な対策を検討しましょう。
手動でのキクイムシ駆除方法
自分でキクイムシを駆除する場合、エアゾール式(スプレータイプ)の殺虫剤を活用する方法が有効です。
キクイムシを駆除するための手段として、エアゾール式殺虫剤のほかに、バルサンなどの燻煙タイプの殺虫剤を使用することも一般的ですが、燻煙タイプの殺虫剤には一部弱点が存在します。
燻煙タイプの殺虫剤では、木材の外に潜んでいるキクイムシを駆除できますが、木材の内部に存在するキクイムシには効果が限られるという側面があります。
一方、エアゾール式の殺虫剤は、木材の被害箇所に直接スプレーすることで、内部にも殺虫成分が行き渡る特長があります。
このため、自己駆除を試みる際には、エアゾール式の殺虫剤を使用することをおすすめします。
以下では、エアゾール式の殺虫剤を利用したキクイムシ駆除の手順を詳しく説明します。
エアゾール式殺虫剤を使ったキクイムシ駆除の手順
- 感染範囲の特定: 被害を受けている箇所を特定し、どの部分に駆除剤を使用するかを計画します。
- 安全対策の確保: 使用する殺虫剤に関する指示をよく読み、必要な安全対策(マスクや手袋の着用など)を講じます。
- 殺虫剤の使用: エアゾール式の殺虫剤を被害箇所に均一にスプレーします。木材の割れ目や隙間にも注意して使用しましょう。
- 薬剤の浸透時間を確保: 殺虫剤の成分が木材内部に浸透するために、指定された時間を待ちます。
- 清掃と予防策: 駆除後、殺虫剤の残りや木くずをきれいに掃除し、今後の感染を防ぐために予防策を考えます。
この手順を追うことで、エアゾール式殺虫剤を効果的に活用し、キクイムシの駆除を試みることができます。ただし、駆除が難しい場合や状況に不安がある場合は、専門の業者に相談することをお勧めします。
キクイムシの被害に対処するため、正しい方法で対処することが大切です。エアゾール式の殺虫剤を使った駆除手順を遵守し、家を守りましょう。
キクイムシ駆除におすすめの殺虫剤
「エアゾール式の虫除けスプレーを使用する際、エアゾール商品の中にもさまざまなバリエーションがあってどれを選べばいいか迷う…」
そうした方々に向けて、以下の3つの基準を満たす虫除けスプレーの選び方をご紹介します。
- ピレスロイド系の成分を配合していること
- スプレータイプで、細長いノズルが装備されていること
- 使用時のにおいが控えめであること
ピレスロイド系の成分を含む虫除けスプレーは、素早い効果や高い致死率とともに、安全性が高いというメリットがあります。
ピレスロイド系の虫除け成分は、害虫の神経系に影響を及ぼし、害虫を駆除する働きを示します。
しかし、これは人を含む哺乳動物に対しては、体内の分解酵素によって素早く分解され、尿などを通じて短期間で体外に排出されます。
そのため、人や動物への安全性が高いと言えます。
引用元:家庭用殺虫剤(虫ケア用品)の安全性
こうした性質から、ピレスロイドは人々やペットがいる環境でも安心して使用できる成分です。
また、木材内に巣食う幼虫を駆除するには、殺虫剤を木材の深層に浸透させることが重要です。
そのため、スプレータイプで細長いノズルが取り付けられた商品が効果的です。
さらに、キクイムシの駆除剤の中には、効果はあるものの強烈な臭いが特徴的なものもあります。
このような強い臭いは、周囲の人々に不快感を与える可能性があります。
そのため、購入前に商品の口コミなどを参考にして、臭いが少ないか気にならない製品を選びましょう。
これらの基準を備えた虫除け剤なら、安全かつ確実にキクイムシの駆除が可能です。
キルノックG
キルノックGは、安全性に配慮されたピレスロイド系の虫除け成分を取り入れており、即効性と卓越した駆除効果を提供します。
金属製のスリムなノズルが取り付けられたスプレータイプで、微細な穴や隙間にも効果的に散布できる特長があります。
キクイムシコロリ
キクイムシコロリは、ピレスロイド系の虫除け成分を取り入れ、高い安全性を誇る駆除剤です。
特設の細長いノズルが備わっており、狭いスペースや虫の巣穴に直接散布することが可能です。
さらに、低臭性の特性により、匂いの違和感が最小限に抑えられています。
これにより、キクイムシコロリは全ての基準を満たしており、ご使用に際して強くお勧めいたします。
スプレータイプの方法でキクイムシを効果的に駆除する手順
キクイムシの駆除には、エアゾール式の殺虫剤を使用する方法があります。以下に、その手順を紹介します。
1. 被害箇所の特定
小さな穴が開いている箇所を見つけます。
木くずが周囲に広がっている場合、そこにキクイムシが穴を開けた可能性が高いです。
2. 殺虫剤の注入
エアゾール式の殺虫剤を、キクイムシが穴を開けた場所から注入します。
木材の内部に潜んでいるキクイムシも同時に駆除するため、専用のノズルを取り付けて丁寧に注入します。
上記の手順で、キクイムシの駆除を行います。エアゾール式の殺虫剤を使用する際には、以下の2点に留意してください。
- 周囲に可燃物がないことを確認する
- 一度の処理で完全に駆除できない場合もあるため、月に1回のペースで処理を行う
これらの注意事項を守りながら、キクイムシの被害を根気強く駆除していきましょう。
キクイムシの予防と専門業者の依頼
キクイムシを一度駆除したら、再発を防ぐための予防策を検討しましょう。
キクイムシの予防には、以下の3つの方法が効果的です。また、専門業者への依頼も検討する価値があります。
木材の表面への殺虫剤散布
エアゾール式の殺虫剤を木材の表面に噴射することで、キクイムシの産卵を予防することができます。
木材内部の幼虫には直接効果がありませんが、メスの産卵を抑制できる点が利点です。
木材へのニスや塗料、防腐剤の施工
木材にニスや塗料を塗ることで、キクイムシの侵入を防ぐことができます。
特に家具など、殺虫剤を直接使用したくない場合に有効です。
防虫処理が施された木材の選択
新たに木材や家具を購入する際には、防虫処理が施された商品を選ぶことをおすすめします。
これらの木材は、通常キクイムシの発生を防ぐために処理されており、安心して使用できます。
キクイムシの駆除や予防は、専門的な知識と経験を要する難しい作業です。自己処理が難しい場合や効果が不確かな場合は、専門の業者に依頼することも検討してください。
専門業者は適切な駆除方法を提供し、状況に応じた効果的な対策を行ってくれます。
キクイムシ駆除の業者への依頼に伴う費用の目安
キクイムシ駆除を専門業者に依頼する際の費用は、一般的におおよそ10平方メートルあたり2万円から3万円程度です。
ただし、広範囲なエリアでの駆除が必要な場合は、追加料金が発生することも考慮しておくべきです。
また、被害の深刻さや広がりによって、実際の費用に変動が生じることもあります。
そのため、業者に見積もりを依頼して、具体的な料金を確認しておくことが大切です。
キクイムシ駆除業者の選び方
キクイムシは木材の内部で潜み、成虫になるまで外に出てこないため、全てのキクイムシを排除することは極めて難しい課題です。このような場合、自身で駆除を試みる際にもわずかな不安がある場合は、プロのキクイムシ駆除専門業者に依頼することを検討しましょう。
また、キクイムシ駆除業者は「キクイムシを撃退しても毎年再発する」とお悩みの方々にもお勧めです。自力で十分な対策が難しい場合でも、経験豊富な専門業者に任せれば、確実かつ安全に駆除を行ってくれます。
ただし、キクイムシ駆除業者の中には不正規な行動を取る悪徳業者も存在しています。こうした業者に巻き込まれないためには、以下のポイントに留意しましょう。
・作業内容と料金に関する情報が明確かどうか確認しましょう。見積もり時にどのような作業が行われるのか、それぞれの作業にどの程度の費用がかかるのかを明確に把握しておくことが大切です。料金や作業内容が曖昧な場合、余計な作業を提案されたり、過度な請求をされる可能性があります。
・駆除作業後の保証内容を確認しましょう。信頼性の高い業者であれば、駆除後の保証についても明確に説明してくれます。保証がしっかりしている業者は、手抜き作業を行う可能性が低いでしょう。
これらのポイントに留意しながら、信頼性のある業者を選択しましょう。
不安な方は専門業者に駆除を依頼しよう
キクイムシの被害を見極める際には、以下の3つの兆候に注目が必要です。
- 室内に木くずが散乱している
- 家具やフローリングに微小な穴が見られる
- 壁などから木をかじる音が聞こえてくる
これらのサインが見つかったなら、被害が拡大する前に適切な対策を取ることが重要です。
キクイムシによる被害を発見した場合、エアゾール式殺虫剤の使用が効果的です。
ただし、キクイムシは木材の内部に潜んでいるため、素人が完全な駆除を試みることは難しいことが多いです。
自分でも少しでも駆除に不安がある方は、キクイムシ駆除のプロに作業を依頼することを推奨します。